今回は野口嘉則さんの本から見つけた子育てに効くとてもよい話をご紹介します。
行動や行為のことをDoing という。
そしてその結果得られるものをHavingという。
子どもが、親の期待するような行動を取ったときに、
「いい子だね」と褒める。これはその子の行動、つまりDoingを評価したことになる。
また、子どもがいい成績を取ったときに、その成績を褒める。
これは、その子が手に入れた結果、つまりHavingを評価したことになる。
しかし、DoingもHavingも、その子自身ではない。
その子の付属物だ。
一方、その子自身のことをBeing(ビーイング)と言う。
Beingとは、その子の存在そのもののことだ。
人間はDoingやHavingばかりで評価されていると、自分の存在、つまりBeingが不安になってくる。
「そのままの自分ではダメだ」と思えてくる。
ある秀才の男の子がいた。
彼は成績がいいことばかりを褒められて育った。
つまりHavingばかり褒められて育ったのだ。
その結果、彼は
「いい成績を取らなければ自分には価値がない。他人から評価されなければ自分には価値がない」
と思うようになった。
彼は大人になった今も、人から評価されなければ安心できない。
そして出世競争に時間と労力を捧げるようになり、自分の人生を楽しむことができなくなった。
ある女の子は、母親から
「積極的であってほしい。社交的であってほしい。友だちをたくさん作ってほしい」
と期待されて育った。
しかし実際は内気な性格で、友だち付き合いが苦手だった。
一人か二人の、よほど気の合う子としか遊ばなかったし、しかも自分から遊びに誘うことはなかった。
なによりも、本を読むのが好きだった。
そんなわが子を見て母親は、
「あなたは、どうして積極的でないの?どうして友だちと遊ばないの?」
と、いつもため息をついた。
つまり「友だちと遊ぼうとしない」という、その子のDoingを嘆いたのだった。
その結果、その子は「そのままの自分ではダメだ」と、思うようになって、自信を失っていった。
ところが、その子が高校生のとき、その子の母親の心が変わった。
その子の存在をそのまま受け入れるようになった。
「どんなときのあなたも愛しているよ。あなたがいてくれることがお母さんの幸せなのよ」
というメッセージがその子に伝わり、その子の自尊心は満たされていった。
その子は自分らしさを愛せるようになり、
大人になって小説を書くようになり、
今は小説家としての人生も楽しんでいる。
子どもの自尊心は、いい成績を取って褒められたときに満たされるのではない。
悪い成績をとっても抱きしめられたときに満たされる。
「君はそのままで素晴らしい存在なんだ」
と、そのままの自分を受け入れられたときに自尊心は満たされる。
自分のDoingでもHavingでもなく、
自分のBeingをそのまま無条件に受け入れられたときに、
その子の自尊心は満たされる。
われわれの最大の価値は、取った行動や出した結果にあるのではなく、存在することにある。
これに本当に気づくとき、自尊心は満たされてゆく。
※出典:野口嘉則著「3つの真実」人生を変える“愛と幸せと豊かさの秘密”より