さて、今回はこちらからどうぞ!
子どもたちの成長にも役に立つ話だと思います。
野村克也氏と米長邦雄氏の対談より
野村:広島カープからヤクルトに来た小早川という選手がいます。一時は四番を打ったこともある選手だから、それだけのものを持っているのだが、頭打ち(成長が止まること)から抜け出せなくて、解雇されてしまった。 彼に「お前は自分をどう思うか」と聞いてみました。「不器用なほうだと思う」と言う。
「他球団の投手はお前をどう思っていると思うか」
「直球は強いが変化球に弱く、選球眼が悪いと思っていると思う」
まったくその通り。よくわかっているんです。「では、どうするつもりや」と聞く。
すると、「自分が直球に強いのは確かだから、あくまでも直球待ちでいきます。そのためにタイミングの取り方、タメのつくり方を基本からやり直します」などと言っている。
米長:ああ、これまでと同じことをやろうとしているんですね。棋士でも勝てない人間はいつまでも同じことをやっている。
野村:そうなんです。「お前なあ」と言うんです。これまでそうやって結果が出なかったんやろ、と。 同じことをやっても、違った結果が出るはずがない。第一戦の巨人戦はエースの斉藤が先発してくるだろう。斉藤はお前をどう攻めてくるか。四球狙いとわかっているから、いくら直球を待ってもきやせんよ、と。考え方を変えて直球は捨て、変化球を待ってみたらどうなんだ、と。
私の話で小早川は何かをつかんだのでしょう。昨年のシーズン第一戦の巨人戦で、案の定先発してきた斉藤から、彼は三本もホームランを打ってしまった。
米長:同じ努力をしていても同じ結果しか出ないということですね。だが、屈辱感、挫折感を味わった者には、何くそ、いまに見ておれ、という貴重な心の基盤がある。それがなければ話にならないのだが、そこを刺激して変化の方向に向けさせる。野村再生工場の神髄がよくわかりました。
野村:多くの選手が毎年、年頭に際して同じ抱負を述べ、同じ努力を誓ってがんばりますと言う。しかし、それは素質の世界のことです。素質いっぱいのところで技術的限界がくる。そして、それを超えられない。こういう選手は二流にとどまるしかない。 その一段上に才能の世界がある。才能とは頭脳の中に埋め込まれた情報のことです。その情報を駆使することで一段上のレベルにいける。そのことに気づくかどうか。それが一流と二流を分ける分岐点になる。
参考文献:『致知』1999年3月号 特集「一流と二流」より
はい、いかがでしたか。この話の中には子どもたちの成長にかかわるヒントが多く隠されていると思います。 まず、
米長:ああ、これまでと同じことをやろうとしているんですね。棋士でも勝てない人間はいつまでも同じことをやっている。
勉強についていうと、成績の伸びが頭打ちになることがあります。今までやってきた勉強法を続け、努力しているがいっこうに改善されない。
野村:同じことをやっても、違った結果が出るはずがない。
米長:同じ努力をしていても同じ結果しか出ない。
米長:屈辱感、挫折感を味わった者には、何くそ、いまに見ておれ、という貴重な心の基盤がある。
勉強をしていて、「何でこんな問題もできないんだ!」と自分で自分のことが嫌になり、くやしくて、時には涙したり、ものに当たったりする。
こうした気持ちと素直に向き合い、自分を変えようと努力することを続けると、伸びゆく軌道に乗ることができます。
心に貴重な基盤があること、屈辱感、挫折感を避けて通るのではなく、素直に受け容れ努力すること、これが子どもたちの成長にプラスになると思います。