前回の続き「子どもの能力を引き出すほめ方」についてです。
・『感覚重視タイプ』には、オーバーアクションで感情を込めてほめます。
・『人間関係重視タイプ』には、子どもが頑張った動機をほめます。
そして、子どもがどのようにやったかを聞いてあげます。
・『事実重視タイプ』には、まずほめてから、
次に良い点を具体的に伝えてあげ、
さらにもっとこうすれば良くなるという改善点を伝えます。
同じほめるでも、やり方がぜんぜん違いますね。
例えば、子どもがお母さんのために、似顔絵を描いてくれたと仮定しましょう。
「お母さん、これ学校で描いたんだ~」と絵を持ってきてくれた場面を想像してみてください。
各タイプ別のほめ方は次の通りです。
『感覚重視タイプ』の子どもには、
「すっご~い!じようず~!良く頑張ったわね!」
「メチャメチャうまいじゃな~い!」
「最高~!あなた天才じやな~い!?」のように、
感情で喜びを表現してあげると、子どもの心に響きます。
感覚で物事の本質をとらえる子だからです。
この子に②や③の褒め方をすると、子どもの喜びは半減します。
感覚でとらえる子には、具体的な説明は必要ないのです。
「親が感情を込めて喜んでくれた」「心からほめてくれた」と思えることが大切です。
『感覚重視タイプ』の子に具体的な質問などすると、
「心から喜んでくれてないんだ」とがっかりさせることになります。
ちょつと恥ずかしいかもしれませんが、過剰なぐらいの表現がちょうど度良いのです。
次に、『人間関係重視タイプ』の子どもには、 彼の動機や人間性をほめてあげてください。
「良くやったわね~。きちんと約束を守ったのね!えらいわ。」
「ありがとう~。お母さんのために描いてくれたのね。本当に嬉しいわ~♪」などです。
動機をほめた後は、絵を良く見て具体的な点を指摘し、
「うんうん♪ここは良いね~。どうやって書いたの?」など、
子どもがそれをどのようにやったかを質問してあげてください。
子どもは自分のことが認められていると感じ、嬉しさとお母さんへの愛情は倍増します。
『人間関係重視』の子は、人に認められ、人とのつながりを感じることが大事だからです。
この『人間関係重視タイプ』の子に、①のような感覚的なほめ方をすると、
子どもは「本当に僕のしたことを分かってくれているのかな?」と疑ってしまいます。
具体的に、自分が子どもの気持ちに感動したことを伝えましょう。
また、子どもに良かれと思って③のように改善点を指摘したりすると、
子どもは自分の前向きな気持ちや善意を、
お母さんが十分に受け取ってくれていないように感じて、非常に悲しい思いをします。
『人間関係重視タイプ』の子は、人に認められることで次のモチベーションを得ます。
最後に、『事実重視タイプ』の子どもには、
「あら!どうもありがとう♪」といった後、絵をよく観察します。
ここまでは『人間関係重視タイプ』の子と同じです。
ですがその後は、 大人の視点から見て具体的にコメントしてあげます。
まず、「ここは良いね。素晴らしいね。」
次に 「この部分は、こうしたらもっと良くなると思うよ」という改善点を教えてあげます。
『事実重視タイプ』の子どもは、自分の仕事が正当に評価されているかどうかを気にします。
『人間関係重視タイプ』の子が改善点を言われると、
自分の動機が否定されているような寂しさを感じるのに対して、
『事実重視タイプ』の子は、自分を正確に知り、
新たな目標ができたことで、
次のモチベーションにつながります。
このタイプの子に対し、①のように感覚的にほめた場合、
「ぜんぜん分かってないな~」と思われてしまいます。
また②のように動機や思いをほめると、
子ども扱いされているように受け止めてしまいます。
タイプによってぜんぜん違いますね。
ご自分の子どもがどのタイプに当てはまるかは、
実際に3つのほめ方を実践してみて、
一番ピッタリ合うものを探してみてください。
3つのどれかに当てはまると思いますよ。
次に叱り方についてお話します。
叱るときにもコツがあります。
「やっておきなさいって言ったでしょう!」などと、感情的に怒るのはダメです。
子どもは隠すようになります。
「どうしてやらないの?」などと、問い詰めるのはダメです。
子どもは言い訳を考えるようになります。
何も言わないのは一番ダメです。
子どもは自分の存在が認められていないと感じて、自尊心を失います。
この子は他人の自尊心も考えられなくなります。
非常に大切なことですが、
叱る時は、「行為」そのもの(=Doing)を叱り、子どもの存在(=Being)は決して否定してはいけないと言うことです。
(例:「○○なことをするなんて、あなたは××ね!」のように言ってしまうと、子どもに××という「レッテル」を貼ってしまうことになります。)