2017/7/22

子どもたちは本当に「読めている」のか?

今回は以前も話題にしました子どもたちの国語力についてです。

普段、塾で教えていて、国語についてはいろいろ感じることがあります。
 
主語・述語が不一致の文を書く、
 
助詞や助動詞の使い方に誤りがある、
 
語の重複があり、読みにくい文になっている等々・・・。

日記などは別として、

文というのは相手に何かを伝えるために書くものです。

他人が読んだときに、それが正しく伝わるものかどうかということ、
 
つまり他者を意識して書かなければいけないと思います。

書くことだけではありません。

読むということについて言うならば、
 
例えば問題文を読み間違える、
 
書いてあることの意味が分からないため問題が解けないなど、
 
読解力不足から学力の伸びに影響がでてしまうということもあります。

私たちは、生涯にわたり日本語を使って生活します。

将来仕事をするときも、
 
プライベートで自分の気持ちを伝えるときも
 
日本語を使います。

その日本語を私たちは正しく読めて、

正しく書けて、

正しく話せているでしょうか?

母国語なのである程度読めて、
 
ある程度書けて、
 
ある程度話せているだけなのかもしれません。

ここにご紹介する記事は

「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」プロジェクトで知られる

人工知能(AI)の研究チームが

子どもたちの読解力についてぶつかったある疑問です。

法政大学教授の湯浅誠さんの記事から。ではどうぞ!

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AI研究者が問う ロボットは文章を読めない、
 
では子どもたちは「読めて」いるのか?
 
 「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)」プロジェクトで知られる
 
人工知能(AI)の研究チームが、子どもたちの読解力テストに着手した。  
 
なぜ、AI研究者が「読解力」に関心をもつのか。
 
そこには、AIの限界を探る研究の過程でぶつかった、ある疑問が関係している。
 
ンター長の数学者・新井紀子さんに話を聞いた。
 
AIは国語が苦手
 
 ――なぜ、AI研究者が「読解力」に関心を?  
 
東ロボは、問題を解き、正解も出すが、読んで理解しているわけではない。
 
現段階のAIにとって、文章の意味を理解することは、不可能に近い。
 
そうすると、特に難しいのが国語と英語だ。
 
国語では、
 
2016年のセンター試験模試(進研模試 総合学力マーク模試・6月)では
 
200点中96点しかとれなかった。
 
偏差値は49.7。
 
5科目8教科全体の偏差値が57.1だったことを踏まえると、
 
かなり低く、 これらの教科は苦手だということがはっきりした。
 
ちゃんと読めば、わかるのか?  
 
しかし同時に、疑問に思ったことがある。
 
 「文章の意味を理解できない東ロボよりも、
 
得点の低い高校生がいるのは、どういうことだ?」
 
「この高校生たちは、文章の意味を理解できているのだろうか?」
 
「義務教育で、教科書の文章を読める力は本当についているのだろうか?」 
 
私たちは、子どもたちが「読める」ことを大前提に話してしまう。  
 
だから「わからない」と言う子に対して、大人たちは「ちゃんと読め」と言う。
 
「ちゃんと読めばわかるはず」という前提、
 
それだけの読解力は備わっているという前提がある。
 
しかし、そもそも「読めて」いないのだとしたら?
 
どれだけ「ちゃんと」読んでもわからない。  
 
社会が得意、算数が苦手という以前に、
 
読めているかどうかを見る必要があるのではないか、と思うに至った。
 
 関ヶ原の戦いは何年?の解き方
 
 ――そもそもAIが「読める」とか「読めない」というのは、どういうことですか。
 
AIを含むコンピュータが得意なのは、情報とパターンで問題解決すること。
 
たとえば「徳川家康は(    )年の関ヶ原の戦いで、
 
石田三成らの西軍を破った」の(    )に何が入るか。
 
答えは1600年。
 
コンピュータは、この答えを膨大な情報を瞬時に検索して答えを出す。
 
教科書、Wikipedia、百科事典など、
 
デジタル化された情報すべてにアクセスし、検索をかけられる。  
 
コンピュータは「戦う」とか「破る」という事態が、どのような事態なのかはわからない。
 
その言葉がリアルな世界で何を表すのかはわからない。
 
それでも、字も追えるし、検索もかけられ、それによって正解にたどりつく。
 
「読めない」が解ける、というのはそういうことだ。
 
 検索と確率だけの世界  
 
さっきの問題文は、コンピュータにとって、意味不明の記号の羅列にすぎない。
 
人間にとっての「●△※×★÷◎◆▼□+」と同じだ。
 
でも、膨大な検索をかけると「●△※」と「◆▼□」が
 
セットで出てくることの多いことがわかる。
 
 「●△※」と「◆▼□」は強い結びつきがありそうだと推論する。
 
これが確率だ。
 
そこで、選択肢の中から「◆▼□」を選ぶ。 これが「1600」だ。
 
膨大な検索を通じて、確率的にありそうなことを選び出す。
 
これがAIのやっている作業だ。
 
本や服を買うと「これも好きなんじゃないですか?」と瞬時に推奨される。  
 
今や一般化したネット上のサービスも、すべてこの仕組みで動いている。
 
「10台を3日」と「10人に3個ずつ」の違い  
 
数学でも、高校以上の抽象的な問題は比較的よく解ける。
 
一方で、 「一日10台の自動車を生産する工場が3日間操業した。
 
さて、自動車は何台できたでしょう?」という問題には非常に苦労する。
 
この問題が、 「10人が3個ずつりんごをもらった。
 
りんごは全部でいくつ必要か」という問題だったら、解ける可能性はある。
 
違いは何か。
 
 2つ目の問題には、掛け算のキーワードになる「ずつ」という言葉が出てくる。
 
キーワードとして「10、3、ずつ」をうまく選ぶような機械学習ができれば、
 
たぶん「10×3=30」が答えだろうということになる。
 
他方、その前の文にはそのようなキーワードが出てこない。
 
「10、3」しかキーワードが選べない場合、
 
足し算、引き算、掛け算、割り算のどれをすればよいか、困る。
 
問題文が読めないとはそういうことだ。
 
子どもたちを見ていると
 
ところが、子どもたちを観察していると、
 
キーワードとパターンで解いている子、読んでいる子が意外にいる。
 
そこに不安が生じてきた。
 
キーワードを探す検索、
 
パターンを覚えて「こういう場合はこうだろう」と確率的に解くやり方では、
 
莫大な処理速度をもつAIに、いずれ追い越される。
 
 仮にそれで正解を得たとしても、そこで培われた力は、
 
いずれAIに取って代わられていく。
 
そこに、私たちの危機感がある。
 
 だから、調査することにした。
 
どれくらい読めているのか、と。
 
AIの得意分野と不得意分野で
 
――どうやって調べるのですか?
 
 「リーディングスキルテスト」(読解力テスト)を行う。
 
(中略) 簡単に言うと、小中学校の教科書に出ている知識だけを使い、
 
6分野のテストを行って、読解力を見る。
 
(中略)現在、主に小中学生を対象にすでに予備調査を終え、
 
1万人を対象にした本格的な調査に着手している。
 
文科省も、私たちの取組に刺激を受けて、
 
今年度中に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入する検討を始めた。
 
一般企業の中にも、就活における適性検査に、
 
このテストを採用しようとする動きが表れ始めている。
 
急速に普及する可能性がある。
 
予備調査の結果は…
 
――予備調査の結果はどうですか?
 
本調査の結果が出ないかぎり、確定的なことは言えないが、
 
これまでのところ、テストを受験した公立中学校生340人のうち、
 
約5割が、教科書の内容を読み取れておらず、
 
約2割は基礎的な読解もできていないことが明らかになってしまった。
 
そして、偏差値の高い学校の生徒ほど、リーディングスキルテストの成績もよい。
 
「読める」子が偏差値の高い学校に入っている可能性がある。
 
どうやって「読める」ようになるのか、その原因はまだわからない。
 
その原因を探求して、対策を立てるのが、この調査の目的だ。
 
将来、大変なことになりかねない  
 
それほど複雑な問題でなければ、
 
受験テクニック的には、キーワードを拾い、
 
パターンを覚える解き方のほうが効率がいいかもしれない。
 
でも、AIと同じ解き方では、AIには太刀打ちできない。
 
それでは、これからの時代は乗り切れない。
 
早く正解にたどりつく力は大事だが、
 
それが「読めない」子どもたちをそのままにしているとしたら、将来、大変なことになりかねない。
 
――大変なこととは?  
 
すでによく知られているように、
 
AIによってこれまで人間がやってきた
 
少なからぬ仕事が置き換えられる可能性がある(野村総研調査)。
 
私が2010年に
 
『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞社)を出版したときには
 
誰もまともに受け取ってくれず、本はSFの棚に並べられたものだが、
 
今ではかなりリアリティのある話として受け止められている。
 
読めなければ転職もできない  
 
置き換えられるのは、 従来ホワイトカラーがやってきた、
 
手順が決まっていて、覚えることのできる仕事だ。
 
経済学者の中には「仕事が消えても他の仕事が生まれるので、心配ない。
 
産業革命のときもそうだった」と言う人もいるが、
 
現代は、何をやるにしても一定程度の知識が前提となる
 
知識重視社会(知識基盤社会)だ。
 
たとえば、ある分野で失業した人が他の分野に移ろうとしたとき、
 
一定の職業訓練が必要で、それには初めて見る文章、
 
自分の知らない分野のことが書いてある文章を「読める」必要がある。
 
しかし、もしそれを読む力そのものが備わっていなかったら?
 
失業は長期化せざるを得ない。
 
パソコンが使えずに申請書を書けないといった
 
デジタルデバイド(格差)の問題があるが、
 
文章が読めないので、新しい職業に移行できないという事態が、
 
より大規模に起こる可能性がある。 楽観できない。(後略)
 
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子どもたちの国語力向のため、
 
英駿個別進学セミナーでは
 
国語指導にしっかり力を入れていきたいと考えています! 
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【代表 加藤寛】
 
大津市石山で小4生から大学受験生を対象とした個別指導、自立学習指導の個別進学セミナー、年中から小学生までのそろばん塾ピコを運営しています。
 
学生時代より生徒指導を始めて37年。その間指導した生徒は延べ20000人以上。
 
学習指導にとどまらず、カウンセリングやコーチングの技術を用いて、子どもたちのメンタル面を引き上げる指導も行っています。
 
お子さまの成績がいまひとつ伸びない、もっと伸ばしてあげたいとお考えでしたら、ひとりで悩まずご相談ください。今の状況を変えるきっかけとなるかもしれません。
 
代表 加藤の著書】
 
 
本書は、子どもが勉強しなくてイライラしてしまう、塾や予備校の面談でこの成績では、志望校の合格は無理ですねと言われて不安になっている、子どもと進路について話し合いたいが子どもが何も話してくれない、子どもが率先して勉強してくれたらいいのに、そんな悩みや希望を持っているあなたに最良の一冊となっています。

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